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発達障害が疑われたり、学校や保育園などで不適応行動が目立ったりすると、お医者さんや先生から「検査を受けてみませんか」と言われることがあります。たいていの人はどのような検査なのか、何がわかるのか、検査を受けることで今後にどのような影響があるのか、あまりよくわからないまま受けて、よくわからない結果をもらうというパターンなのではないでしょうか。もちろんきちんとお医者様や担当の検査者から詳しく話を聞かせてもらったという方もいらっしゃるでしょうが、少なくとも私の周りには「よくわからなかった」「勧められたからやったけど何の意味があったの?」と疑問をもったままの保護者様がたくさんいらっしゃいました。そこで今回は知能検査・発達検査の概要編ということで、「知能検査や発達検査を行うことでどんなメリットがあるのか」や、「知能検査や発達検査における注意点」についてお話していこうと思います。
まず「知能検査や発達検査を行うメリット」ですが、「知能や発達などの本来目で見ることのできないものを数値として扱うことができる」というところが挙げられると思います。いままで理由の分からなかった問題行動も、検査を受けることでその原因がはっきりするということもあります。勉強はできるのに学校に行きたがらない子にWISCを行ってみたところ平均よりもだいぶ知的に高いことがわかり、そのことが原因でクラスメイトと話がかみ合わなかったから行き渋りがあった(このような子たちはギフテッドと呼ばれます)というケースがありました。このように問題解決の糸口を探すことができることは検査ならではのメリットです。
また、「得意な部分と苦手な部分を把握することができる」という点もメリットです。知的に低いもしくは発達が遅れているといっても、すべての部分が均等に遅れているというケースばかりではありません。「全体的に低いけど、ここは平均的」「ここだけががくんと落ちている」など、発達の状況は十人十色です。検査を行うことで個々人の特性を把握し、その人に合った支援作成の指針とすることができます。よくある話が、それまで先生の話をよく分かっていなかったお子さんが検査を受けて「聞くよりも見た方が情報処理が上手くいく」ということがわかり、絵カード等を活用するようになった結果、落ち着いて生活ができるようになったというものがあります。このように検査結果をうまく活用することで子ども達の生活の質をグッと上げることができます。
次にそんな便利な検査の注意点についてお話していきます。初めに「数値が一人歩きしやすい」という点です。全検査IQ(総合的な知能の数値で100が平均)が70という子がいたとして、「この子はIQが70」という結果のみが広まってしまうことがよくあります。そうではなくて大切なのは「得意な部分はないか」「苦手なところがあるとしたらどんな支援をすればいいのか」という部分に注目し、実際の教育や療育に生かしていくことです。それらをすっ飛ばして「IQが70だから~」というのでは検査を生かしきることができていないです。
また、検査結果を過信してしまうことにも注意が必要です。少々暴論かもしれませんが、検査はあくまで効率的に情報を集める道具にすぎません。たかだか2時間程度でその人のすべてがわかるわけではないのです。さらに子ども達からすれば「知らないところで知らない人に次々と問題を出される」わけですので、心理的な負荷もかかっています。もちろんそれを加味して結果を出していますが、普段の実力のすべてを出し切れない場合があります。にもかかわらず、「検査結果はこう出てるからこの子はこんな子!」と決めつけてしまうのはいかがなものかと思います。あくまで検査は補助ツールであり、その子の置かれている環境や人的支援とうまく絡めていくことが大切です。
さて、いかがだったでしょうか。今回は概要ということで検査の大まかな内容をお伝えしました。次回はもう少し具体的に話をすすめ、「検査結果をどのように活用するか」についてお話していこうと思います。
まずはお気軽にご相談くださいね。
ハートライン東京クリニック 板橋分院
管理者 医師 太田陽子
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